須志田准教授が「第17回錯視・錯聴コンテスト」で入賞しました

2025.12.01

2025年11月28日(金)から30日(日)にかけて、新潟大学駅南キャンパスときめいと・朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで開催された日本基礎心理学会第44回大会において、「第17回錯視・錯聴コンテスト」の授賞式が行われ、本学情報学部の須志田隆道准教授が、森将輝氏(早稲田大学データ科学センター講師)と近藤信太郎氏(岐阜大学工学部教授)との共同研究で考えた作品「瞬き誘導型主観色」で入賞されました。

錯視・錯聴コンテストは日本基礎心理学会に関連するイベントとして開催されているコンテストで、視覚や聴覚に関する錯覚を起こすさまざまな応募作品が審査され、グランプリ作品と入賞作品が決定されるというものです。

受賞作品「瞬き誘導型主観色」

解説:左図はベンハムの独楽と呼ばれるもので、無彩色の図形であるにもかかわらず、回転させることで有彩色を知覚することができます。無彩色の図形から有彩色を知覚する現象を主観色といいます。19世紀前半のフェヒナーらの研究から始まる主観色の理論研究では、色に応答する視細胞の応答速度の不均衡が要因の1つだと考えられており、単純に不均衡のみ導入した数理モデルを作成すると、それらしい色味が出現することを数値シミュレーションで観察することができます。一方で、いかなる状況においてもこの不均衡が存在するとすれば、右図のように黒い半円を取り除いても色味が出現するのではと推測されますが、右図の円板を回転させても、ベンハムの独楽と同じような強い色味は出現しません。このことから、黒い半円は不均衡を出現させるためのトリガーではないかと考えられます。暗い状況を目に与えればよいということであれば、意識的に瞬きを行うことでよいのではと推測することができます。第17回錯視・錯聴コンテストのHPに右図を回転させた動画が公開されているので、実際にご覧いただき、意識的な瞬きによって誘導される色味を観察してみてください。なお、錯視には個人差があるので、その点ご注意ください。コンテストのHPには応募用に作成した解説記事もあるので、併せてご覧ください。 (リンク先:第17回錯視・錯聴コンテストのHP

受賞コメント(須志田隆道准教授)

与えられた画像や動画と私たちが見た印象が大きく異なるという不思議な現象「錯視」の仕組みを調べるために、これまでに眼球内の網膜と呼ばれる細胞組織を中心にした数理モデルを構築して、典型的な錯視が見える仕組みを探求してきました。研究を始めた当初は、仕組みがわかれば、全く新しい錯視を作り出せるのではないかと安易に想像していましたが、実際にはとても難しい問題だということを常々感じております。今回は、白と黒のみで作られた円板であるにもかかわらず、回すと色味が感じられる「ベンハムの独楽」の仕組みを追求するために、森将輝氏(早稲田大学データ科学センター講師)と近藤信太郎氏(岐阜大学工学部教授)と進めている共同研究で考えた作品をコンテストに応募しました。本作品は、錯視の仕組みを探求するための数理モデル構築を行う中で得られたものということもあって、発見に至るまでのプロセスはとても価値があると考えています。本作品を高く評価していただきました審査員の皆様には、大変感謝しております。

関連URL

第17回 錯視・錯聴コンテスト 2025HP

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