学長メッセージ

地域の発展のための「福知山モデル」をめざして

川添 信介 福知山公立大学 学長

福知山公立大学 学長川添 信介

このたび、公立大学法人福知山公立大学の理事長・学長を務めることとなりました。6年前に「市民の大学、地域のための大学、世界とともに歩む大学」を基本理念として公立化し新しくスタートした本学は、井口和起前理事長・学長のリーダーシップのもとで、その理念の実現のために邁進し実績をあげてきました。私もこの基本理念の実現に向けて精励する所存でおります。

日本の大学・高等教育は、明治の草創期、大正から戦前にかけての発展、そして戦後の高等教育の一元的な制度設計変更を経て、現在さらなる大きな変容を経験しつつあります。現今の新型コロナウイルス感染症蔓延をも伴うこととなった世界のグローバリゼーションを背景としつつ、いま大学が求められているのは、ユニバーサル化してしまった大学の中での「多様化」であると思います。800校近くになる我が国の大学はそれぞれが、結果としての多様性ではなく、目的としての多様性を求められています。何を教育・研究の目的とし、それをどのように実現していくのかという点において、それぞれの大学は独自の特徴を発揮しなければ存在意義を問われることになるはずです。このことは私立大学においては当然ですが、公立大学においても同じだと思います。

福知山公立大学は令和4年度から始まる6年間の中期目標・中期計画において、大学の地域貢献における「福知山モデル」を掲げています。社会貢献は、大学の「外の」社会の強い要請もあって、あらゆる大学にとって重要な使命とされています。しかし、大学にとってまず第一の使命は教育と研究であり、社会貢献は学術活動の結果のアウトリーチであると捉えられることが多いと思います。それに対して「福知山モデル」がめざすのは、教育研究が最初から社会貢献と結びついて構想されることです。そして、人びとが生きる「現場」が地域社会であり、そこに社会貢献の中心を据えようとするものです。したがって、本学は本質的に地域に対して「開かれた」ものであり、さまざまな関心をもつ地域の多様な人びとのもとに学生・教職員は出向いてゆき、またその人びとが本学に関わってくれることによって存立するものだと考えています。

我が国の多様化している大学のなかで、本学は「福知山モデル」を掲げることで他にはないユニークな大学であることをめざします。その具体的な姿はこれから地域の人びととともに創り上げてゆくことになりますが、多くの方々のご理解とご協力を得て、豊かな地域を生み出すために貢献してゆきます。

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