2025年11月18日(火)、本学において、「科学研究費助成事業(科研費)制度説明会」を実施しました。本研修は、科研費申請に向けた教職員の理解を深めること及び申請支援を目的に開催したものです。
講演では、独立行政法人日本学術振興会 人材育成事業部長(兼)研究事業部長の松本昌三氏が登壇し、科研費の歴史的背景から現行制度の枠組み、審査区分の考え方まで幅広い内容が取り上げられました。科研費は、すべての分野を対象とし、研究者の自由な発想に基づく学術研究を支える我が国最大規模の競争的研究費であること、またピアレビューによる厳正な審査が制度の信頼性を支えていることが説明されました。さらに、研究者が適切に調書を作成するための留意点として、研究の独創性や、学術的価値を明確にすること、専門外の審査者にも理解しやすい記述の重要性などが示されました。
また、令和8年度採択に向けた公募スケジュールや、データマネジメントプラン(DMP)提出、研究倫理教育の受講義務、安全保障貿易管理の体制整備など、研究活動を取り巻く最新の制度要求についても解説され、科研費への理解を深め今後の申請準備や研究遂行に向けて有意義な機会となりました。
その後、西田豊明副学長が「科研費でコミュニティを織り上げる」と題して講演を行いました。研究者の周囲には「研究者仲間」「審査員仲間」「JSPSスタッフ」などの人のつながりがあり、コミュニティよりも広い”コモングラウンド(共有の基盤)”としてとらえられることを示唆しました。コモングラウンドは、研究者にとっての“居場所”であり、新しい課題や人との出会いを生み出す場でもあります。
西田副学長は、科研費は単なる研究資金ではなく、こうしたコミュニティ形成や新たなコモングラウンドを支える仕組みとして機能していると述べ、研究者がコミュニティから力を得て、またコミュニティへ還元していく循環の重要性を強調しました。
本学では、研究力向上をめざし、今後も科研費申請支援や研究環境整備に継続して取り組んでまいります。

