2026.11.04

当事者の声から地域の現場へ
―― 視覚障害者支援を学ぶ実践

[活動報告] [研究室・ゼミ]

外部講師による授業と白杖安全デーでの運営支援・参与観察

地域経営学部の張明軍研究室では、視覚障害のある方々の暮らしと地域での支援について、当事者の声を聞く講義と地域の現場で学ぶ活動を連続して実施しました。

10月2日の「地域経営研究Ⅱ」では、視覚障害のある当事者や支援者をゲストスピーカーに迎え、10月17日にはゼミ生らが「第60回白杖安全デー府内北部集会」の運営支援と参与観察に取り組みました。「知る」ことから「現場で確かめる」ことへと学びをつなぎ、誰もが安心して暮らせる地域社会のあり方を考えました。

第1部 当事者の声から学ぶ ―― 地域の現場に向けた事前学習

10月2日(金)、張研究室の「地域経営研究Ⅱ」に、公益社団法人京都府視覚障害者協会副会長の井上恵美氏、盲導犬のカレンちゃん、ガイドヘルパーの今田氏、綾部市視覚障害者協会副会長の四方秀氏を招き、特別講義を行いました。

講義では、視覚障害のある方の日常生活や外出時の困難、白杖や盲導犬の役割、視覚障害者協会の活動などが紹介されました。白杖を用いた説明や盲導犬カレンちゃんの様子も交えながら、移動の安全を支える道具や人的支援の役割について理解を深めました。また、当事者と支援者の双方から話を聞くことで、学生たちは視覚障害を抽象的な「福祉の課題」としてではなく、移動や情報の取得、人との関わりといった地域生活における具体的な課題として捉える機会となりました。

この講義は、続く白杖安全デーで当事者の声や支援の実際に注目するための事前学習となり、「どのような場面で、どのような配慮が必要か」という問いを持って現場に臨むための土台となりました。

第2部 地域の現場で学ぶ ―― 白杖安全デーの支援と参与観察

10月17日(土)、綾部市ものづくり交流館で「第60回白杖安全デー府内北部集会」が開催され、府内北部の視覚障害者団体の会員やガイドヘルパー、行政関係者、ボランティア、学生ら140名以上が参加しました。今回の集会は「移動の安全確保と白杖の意義を考えよう」をテーマに、視覚障害のある方同士の交流や課題の共有、地域社会の理解促進をめざして開かれました。

集会では、綾部市教育委員会の廣富亮太氏による「陸に上がった水軍 綾部藩主九鬼家十四代の歴史」と題した講演に続き、視覚障害のある方による「移動の安全確保と白杖の意義」をテーマとした体験発表が行われました。さらに、移動の安全確保や心のバリアフリーの推進、北部地域の課題共有などを盛り込んだ集会決議が採択されました。

140名以上が参加した第60回白杖安全デー府内北部集会

張研究室のゼミ生らは、集会の運営支援に携わりながら参与観察を行いました。10月2日の講義で学んだことを踏まえ、視覚障害のある方への支援のあり方や会場で必要とされる配慮を意識しながら、運営をサポートしました。また、体験発表で語られた移動上の課題についても理解を深め、講義で聞いた日常生活での課題が、集会の運営や地域団体の活動とどのようにつながっているのかを、現場で考える機会となりました。

集会の目的の一つには、災害時の歩行環境の改善も掲げられていました。災害時には日常の移動経路や情報入手の手段が使えなくなるおそれがあり、当事者の立場に立った避難誘導や情報伝達、平時からのつながりが重要となります。学生らは、当日の体験発表や活動の観察を踏まえ、平時の移動支援と災害時の支援を切り離さずに考える必要性について理解を深めました。


今回の二つの活動は、単発の講演聴講や行事参加ではなく、①当事者の経験を通じて課題を理解し、②現場で支援に関わりながら実態を観察し、③地域社会に必要な仕組みを考えるという、一連の学習として位置づけられます。学生にとっては、支援を一方的に「してあげる」ものとして捉えるのではなく、当事者の声を出発点に、行政、地域団体、ボランティア、住民が協力して支え合う地域の仕組みを考える機会となりました。

張研究室では、こうした講義と地域での実践をつなぐ学びを大切にし、誰もが安心して生活できる地域づくりについて考察を深めていきます。

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