情報学を基盤とした地域協働型教育

特色

「地域協働型教育」は、学生が住民や行政、企業など地域のさまざまなアクターとの協働を通じて、地域社会が抱えるリアルな課題に取り組む実践的な学びです。座学で修得した知識や理論、情報スキルを駆使して、地域の課題解決をめざします。そして、一連のプロセスを通じて、専門的な知識・スキルを現実の課題解決に活用する力を高めます。「情報学を基盤とした地域協働型教育」では、地域課題を解決に導く力を高めるため、地域データを科学的に取り扱い、情報学の手法で地域を理解・分析し、解決策を提示するスキルを身につけます。その上で地域のアクターとの協働に取り組み、課題解決をめざします。

地域協働型教育の概要図

活動事例(学生レポート)

地域経営学部

衰退する養蚕業に光を当てる、桑の葉スキンケア商品の開発

衰退する養蚕文化の継承、これが私たちが取り組む地域課題です。地元企業のもとで残された桑苑を活用し、葉に含まれる美容成分を活かしたスキンケア商品の開発に挑戦。ターゲット分析に基づいた香りの調合や、パッケージやロゴのデザインに取り組みました。さらに記者会見などの広報活動やクラウドファンディングも展開し、地域資源の魅力発信と商品の販路拡大に尽力しました。

学生の声

大学で学んだ知見を、商品開発という実務の場で活用できたことは貴重な経験でした。特に、香りの開発では、個人の嗜好に留まらず、設定したペルソナ(顧客像)に共感される価値を追求する難しさや面白さを実感しました。現在オンラインショップを中心に、8商品を展開中ですが、今後はさらにラインナップを拡大し、商品を通して地域の魅力を広く発信していきたいです。

お土産物開発を通した伊根観光の新たな形の発信

伊根町の観光事業者からの依頼を受け、お土産開発をスタート。関係者へのヒアリングや現地調査を通じて、「リピーターが少ない」「舟屋エリアへの一極集中」の課題にアプローチ。ストーリー性を持った絵馬を販売し、町内のお気に入りの場所で絵馬と一緒に写真を撮るという使い方を提案することで、町内全域に足を運び、ファンになるきっかけをつくることを狙いました。

学生の声

絵馬の制作では、質感やデザインには特にこだわり、クオリティとコストのバランスを考えて進めました。リーダーとして、デザイン力やアイデア力などメンバーの得意分野を伸ばす適材適所の配置と、密な対話による共通認識の形成に注力。この活動で得た実践的な商品開発の経験を、将来志望している販売職で生かしていきたいです。

データ分析を武器に、Uターン施策を提言

全国の地方都市で人口減少が進む中、地元岡山の将来に危機感を抱き、地域振興を志して本活動に参加しました。今は「大学生のUターンや移住促進」をテーマに研究を行っています。具体的には、福公大を含む府内3大学の学生を対象としたアンケート調査を実施し、学生が就職地を選択する際の意識や要因の分析に取り組んでいます。

学生の声

当初、Uターンの障壁は待遇や利便性にあると仮説を立てました。しかし調査により、多くの学生が公務以外に地元企業を知らず、情報の欠如が機会損失を招いている実情が浮き彫りに。予想がデータで覆される瞬間に面白さを感じ、ビジネス統計スペシャリストの資格を取得。客観的な分析に基づき、地域活性化に向けた施策を立案できる人材をめざします。

情報学部

生態調査・環境調査への情報技術の適用

京都府の天然記念物にも指定されている舞鶴市冠島のオオミズナギドリ。西舞鶴高校の理数探究科が参加する調査活動と連携して、このプロジェクトが発足しました。調査隊が撮影した冠島の群に見られる特徴的な行動「鳥まわり」の様子をとらえた動画像を対象に、私たちで、飛行する個体数を自動カウントするアルゴリズムを開発しました。

学生の声

当初、プログラミング経験の少なさから不安があったからこそ、粘り強く開発に取り組みました。開発中、オオミズナギドリの飛行中の姿勢変化による「誤カウント」という難問に直面。試行錯誤の末、動画をフレームに分割し移動を追跡する独自のアルゴリズムでこれを解決しました。今後はカメラ一台で個体数や飛行パターンなどの生態を明らかにできるシステムとして発展させていきたいです。

IoT技術を黒大豆の栽培に適用

北近畿エリア有数の耕作地、京丹後市の農業普及センターから、高齢の農業従事者の負担を軽減したいという相談を受け、黒大豆のスマート農法の研究を開始。生産者へのヒアリングを経て、品質に直結するにもかかわらず、現状は農家の方の経験と勘に頼っている土壌の水分量に着目し、畑に埋め込んだIoTデバイスを用いて、遠隔で水分量をモニタリングするシステムの開発を行いました。

学生の声

農家の方が導入しやすいことが研究の重要なポイントでした。IoTデバイスには、できる限り廉価なセンサーを利用し、独自プログラムにより、低かった計測精度を高額製品と同等のレベルに引き上げました。同時に、高齢者にもやさしい、直観的に操作できるアプリも開発。大学院に進学し、スマート農業システムのさらなる高精度化や、ほかの作物への応用を進めていきます。将来的には、実際に現場で使われ続ける、汎用システムとしての製品化をめざします。

着物の選択を支援するAIシステムの構築

着付け師の人手不足という課題を知り、その業務をサポートする「着物レコメンドシステム」を構想。生成AIによる画像処理と自然言語処理を用い、入力されたキーワードからおすすめの着物を抽出する仕組みを開発しています。生成AIに着物の特徴を正確かつ具体的に表現させるため、プロンプトをブラッシュアップし、精度の向上に努めています。

学生の声

入学当初はプログラミングに対して苦手意識がありました。しかしこの活動を通し、Pythonを使い生成AIを組み込んだ自動化システムの実現までこぎつけ、成長を実感しました。今後はWebアプリとして開発を進め、実際に呉服店で実用化することが目標です。卒業後も、AI技術を地域社会に還元できる仕事に就きたいと考えています。

地域協働型教育成果報告会

2026年2月14日(土)、地域経営学部による2025年度地域協働型教育研究報告会を本学で実施し、地域が抱える課題について、フィールドワークなどを通じて調査・分析・考察した成果を学生が発表しました。

本学では今後も、地域を学びのフィールドとした地域協働型教育を通じて、地域とともに課題解決に取り組む実践的な学びを推進してまいります。

学生の声はこちらから