2026.10.09

玉ねぎ800kgから、100円カレーができるまで。
― 福知山公立大学「Kita-re(キターレ)」のはなし

地域とともに STL助成金 学生の活動
#Kita-re #アグリサーキュラーデザイン in Fukuchiyama

畑に残された800kgの玉ねぎが、3日間で完売する100円カレーに変わった。仕掛けたのは、福知山公立大学の学生たちです。その裏側には、学生の「やってみたい」を実際に動かすための、この大学ならではの仕組みがありました。


畑に、800kgの玉ねぎが残っていた福知山市三和町の、ある農家さん。
収穫されないまま、畑に玉ねぎが残っていました。その量、およそ800kg。味も品質も問題ないのに、このままだと捨てられてしまう。
ここに、福知山公立大学の学生8人が向かいました。

作業時間、およそ4時間。800kgを、全部収穫しきりました。
でも、話はここで終わりません。

問題は「採ったあと、どうするか」です。

「じゃあ、カレーにしよう」
学生たちが次に組んだのは、地元の飲食店でした。

「上方人情酒場 ちりとてちん」を運営する株式会社オフィスヒュートと一緒に、2024年7月23日から25日までの3日間、「100円カレー」イベントを開催。あの玉ねぎを使ったカレーを、1日70食限定、1杯100円で出しました。

結果は、3日間とも完売。

食べに来たのは、地元の家族連れ、そして高校生。この記事を読んでいるあなたと同じくらいの人たちが、たまたま入ったお店で100円のカレーを食べていた——その裏側に、こんな動きがあったわけです。

この学生チームの名前は「アグリサーキュラーデザイン in Fukuchiyama」。「地域から社会へ、食品ロスを減らしたい」という想いで集まった学生たちのプロジェクトです。地域の企業や農家で出てしまう規格外の野菜などを使って、商品開発、メニューづくり、宣伝、販売までを、事業者さんと一緒にやっています。

で、これ、どうやって始まったの?

「すごい学生がたまたまいた」という話ではありません。学生が「やってみたい」と言い出したときに、それを実際に動かせる仕組みがあります。

その一つが「STL助成金」です。STLは「Students Launch」の頭文字。学生の挑戦を、文字どおり打ち上げる(Launch)ための制度です。

手順は、こうです。

  1. 仲間を2人以上集める — 1人ではエントリーできません。友だちでも、授業で一緒になった人でも。
  2. やりたいことを書いて出す — 申請書と計画書と予算書。書き方は、春の説明会で教えてもらえます。
  3. プレゼンする — 新しく申し込むチームは、審査で自分の言葉で話します。
  4. 通れば、活動費が出る — 最大20万円程度、しかも自己負担なし。材料費も移動費も、そこから出せます。
  5. 3月に成果を発表する — 年度末の報告会で、他のチームの活動も全部見られます。

採択されるのは、毎年10チーム前後。決して狭き門というわけではありません。

それを支えている「Kita-re」という場所

さて、ここまで出てきた仕組みを裏側で回しているのが、北近畿地域連携機構「Kita-re(キターレ)」です。読み方は「キターレ」。福知山公立大学の中にある、大学と地域をつなぐための組織です。

この大学は、キャンパスの外—北近畿エリアの企業や自治体、地域の人たちと、日常的につながっています。そのつなぎ役がKita-reです。

やっていることは、大きく4つ。

  1. 相談の窓口になる 「大学と何か一緒にできませんか」という地域からの相談を受けて、ぴったりの先生や学生につなぎます。
  2. 誰でも学べる場をつくる 市民講座やものづくり講座、小中学生向けのプログラミング教室など。学生だけでなく、地域の大人も子どもも学べます。
  3. チームで地域に関わる 先生・学生・地域の人が混ざったチーム(ユニット)が、地域の課題ごとに動いています。
  4. みんながつながれる場所をつくる 「北近畿コラボスペース」というオンラインの連携の場があります。企業の人、自治体の職員、地域で活動する大人たち、そして学生が、同じ場所でやりとりできる仕組みで、およそ90団体・400人以上が参加しています。

高校生のあなたへ

正直に言うと、大学に入った時点で「やりたいこと」がはっきり決まっている人は、そんなに多くありません。

でも、「もったいないな」「なんとかならないかな」と思ったときに、それを形にできる場所があるかどうかは、けっこう大きな違いです。

畑の玉ねぎを見て「もったいない」と思った学生が、実際に800kg収穫して、お店と組んで、3日間完売させた。福知山公立大学とKita-reには、そういうことが実際に起きています。

そして、その挑戦はひとりで抱えるものではありません。地域の企業も、自治体も、先生も、事務局も、いっしょに動いてくれます。

もしこの記事を読んで「ちょっとおもしろそう」と思ったなら。ぜひ一度、この大学をのぞきに来てください。

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