2026.10.01

地域協働演習 活動紹介A 
データでまちの“にぎわい”を測る

地域協働型教育
#AI #データ分析 #福知山鉄道館フクレル #誘客施策

地域協働演習「街の賑わい計測」

神谷達夫教授が担当するAチームのテーマは、「街の賑わい計測」です。Aチームでは、福知山市産業部商業観光課と協働し、フクレル周辺の人流データ分析に取り組んでいます。

福知山鉄道館フクレルの令和7年度来館者数は29,021人で、福知山城入館者数の約54%でした。そこで、福知山城公園周辺からフクレルへ人がどのように移動しているかを把握し、誘客施策を考えるための判断材料をつくることが、この活動の出発点になりました。

学生たちは、現場の観察とデータ分析を組み合わせ、まちの“にぎわい”を継続的に測り、地域の方々に分かりやすく説明する方法を学びます。

現場で使える計測の条件を整える

調査の対象は、福知山鉄道館フクレル、福知山城公園、ゆらのガーデンの周辺です。学生たちは、どこに人が集まり、どの経路を通り、どの時間帯に動きが変わるのかを捉えるため、次の5点を中心に計測地点や方法を検討します。

  1. 人の流れが見える場所はどこか。
  2. 安全に機器を設置できるか。
  3. 撮影範囲や掲示、個人情報への配慮は十分か。
  4. 電源や通信を安定して確保できるか。
  5. 得られたデータを地域の施策にどう生かせるか。

現場でデータを取得するには、施設や管理者との調整、設置許可、画角、電源、通信、機材の保全など、多くの条件を整える必要があります。学生たちは、関係者に自ら相談し、合意した条件を記録しながら準備を進めます。

この過程では、設置できた理由だけでなく、設置が難しかった理由も重要な学びになります。現場で起きた問題を記録し、改善策へつなげることも、地域と協働してデータを扱うために欠かせない仕事です。

データから人の流れを読み解く

前期は、本格的な現地観測に先立ち、学内3地点で混雑度計測システムを実証しました。

定点カメラで約10秒間隔に撮影した約44万枚の画像を用い、AIでを用いて画像中の人数を推定し、その結果から混雑度を3段階に分類しました。4週間にわたる運用を通じて、撮影、転送、判定、集計、日次報告までを自動化し、曜日や時間帯、地点による混雑パターンの違いを分析しました。

その結果、3地点すべてで判定精度の運用基準を上回り、曜日や時間帯と混雑状況との間に明瞭な関係が見られることや、同じ建物内でも場所によって利用のされ方が異なることを確認しました。

後期は、前期に整えた計測・分析の仕組みを現地データへ接続します。個人を識別・追跡するのではなく、場所ごとの混雑の変化を時間帯別の集計値として捉え、施策の検討に役立つ形で数値化・可視化します。

学生たちが向き合う問い

この活動で学生たちが向き合うのは、技術だけでは解決できない次のような問いです。

  • 地域にとって、本当に役立つデータは何か
  • 誰に相談し、どのような条件を整えれば、安全に計測できるか
  • データの傾向と現場での観察を、どのように結び付けるか
  • 分析結果を、地域の方々が判断に使える形でどう伝えるか
  • 限られた期間と機材で、どこまで信頼できる結論を示せるか

問いを具体的な作業へ分解し、役割と期限を決め、関係者と調整しながら検証する。その一連の過程を通じて、学生たちは地域課題に粘り強く向き合います。

学びのポイント

この活動で学生が学ぶのは、AIを用いて混雑度を判定する技術だけではありません。

  1. 地域の要望を計測できる問いへ変える力
  2. 必要な相手に相談し、条件を調整する力
  3. データを収集・点検し、表やグラフで数値化・可視化する力
  4. 役割と期限を管理し、仲間と協働する力
  5. 結果と限界を根拠とともに分かりやすく説明する力です。

情報学部と地域経営学部の学生がそれぞれの視点を持ち寄り、技術、地域理解、協働、自己管理を一体のものとして身につけます。

学生の声

AIカメラの設置許可を得るための調整に想定以上の時間がかかり、当初の計画どおりに進めることの難しさを経験しました。一方、学内での実証実験を通じて、カメラの設置方法やデータの取得・分析方法を確認し、時間帯による混雑の違いを捉えることができました。今後は、今回見つかった課題を改善し、各地点の通過人数や移動方向を計測し、福知山城公園周辺からフクレル周辺にかけての人の流れを把握したいです。

教員の声

地域の課題は、分析技術だけでは解決できません。何を測れば地域の判断に役立つのかを考え、関係者に相談し、許可や設置条件を整え、得られた結果と限界を分かりやすく伝えるところまでがこの演習です。学生には、うまくいかないことも大切なデータとして記録し、仲間や地域の方々と対話しながら改善する経験を積んでほしいと考えています。

神谷 達夫 教授

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